ニュアンスの違い
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ニュアンスの違いも多義表現の形態の一種でしょう。
A:「再臨界の可能性がある。」
B:「再臨界の可能性はゼロではない。」
この二種類の表現が原因で「言った・言わない」の混乱が起こりました。
この違いを別の事象に置き換えて見ると、ニュアンスの違いがもっとハッキリします。
A:「巨大惑星が地球に衝突する可能性がある。」
B:「巨大惑星が地球に衝突する可能性はゼロではない。」
後者の表現Bは数学的厳密性に沿った数学的には正しい意見です。しかし、実質意味することは「殆んどゼロである」と言っていることと同じですね。ですから、表現Aと表現Bとでは意味が全く異なります。
この二つの違いは英語で表現しても極めて微妙な差で、「a」があるか、ないかの違いです。
A:There is a little possibility that a big planet will hit the earth.
B:There is little possibility that a big planet will hit the earth.
Aは「少しはある」ことを伝える趣旨で、Bは「殆んど無い」ことを伝える趣旨です。
混乱を避ける意味では、曖昧さを解消するために、もう少し言葉を補って、以下のように言うべきでしょう。
A:「巨大惑星が地球に衝突する可能性も想定する必要があります。」
B:「巨大惑星が地球に衝突する可能性は殆んどゼロなので想定する必要はないでしょう。」
A:「再臨界の可能性も想定する必要があります。」
B:「再臨界の可能性は殆んどゼロなので想定する必要はないでしょう。」
まとめますと、今回の混乱の原因は数学的厳密性を尊重して発言する科学者と、数学的厳密性などには関心がない一般人との文化摩擦、習慣の違いが原因でしょう。誰かに責められるべき落ち度、不手際があったとは考えません。
人と人とのコミュニケーションにある程度、どうしても伴ってしまう曖昧性、ヒューマン・エラーだと思います。
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by robocop307 | 2011-05-28 08:35