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ストレステストのない社会

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ストレステストのない社会とは、中国のことです。ここで私が「ストレステスト」という言葉で意味したいことは、「批判に揉まれること」、「批判に鍛えられること」、「批判の洗礼を受けること」のようなニュアンスです。

要するに言論の自由、報道の自由、批判の自由がない社会とは、ストレステストの試練無しで原発を乱立するような社会でしょう。

中国版新幹線の事故が起こりましたが、恥ずかしいことは事故そのものではなく、その事故への対応でした。事故後の対応で、世界に対しての面子を保とうとして行った行為が、逆に面子を失うようなことばかりを行っていました。しかも、そのことの自覚がないようでした。世界標準から見て、あまりにお粗末な対応だったことは、ご存じの通りです。

腐敗、汚職が隠蔽され、事故原因も真剣に究明されない。批判で叩かれずに見逃される。事故原因分析のための宝庫であるはずの車両が地中に埋められる。事故後、数日で運転を再開する。彼等が「安全」には全く無関心であることを世界に向けて高らかに宣言したわけです。

「恥をかいている」という自覚もないようでした。事故直後の当局の胸を張った会見で、「それでも我が国の高速鉄道は安全であると確信している」と強弁しました。彼等の「安全」の語義が「落雷で50人程度の死亡者が出る」ことを容認するレベルであることを自ら公言したわけです。

彼等の「安全」という言葉の語義では、確かに間違いなく「安全」なのでしょう。それがウソではないことを私も疑いません。但し、彼等の「安全」の語義は、私たちの語義とは大幅に違っているようなので、私は中国版新幹線に乗りたいとは思えません。

乱暴で根拠のない憶測に過ぎませんが、事故車両を埋めたのは、事故原因に無関心だったからではないのかもしれません。そうではなく、ひょっとして、事故原因を既に知っていて、究明する必要がなかったからなのかもしれません。

役人に払うワイロを捻出するため、突貫工事や重要部品のカットをしていた可能性もあるでしょう。あるいは、予算の一部を横領するため、例えば、自動列車制御装置に必要な高額な部品を使わず、品質基準に達しない安価な粗悪品で代用していたのかもしれません。事故車両を調査されれば、そのことがバレてしまうので埋める必要があったとか。

今回の中国の事故対応は、米国に"China Free"(中国産は一切含まれていません=だから安全です)という表現が存在している理由をまざまざと実感させてくれた事件でした。

とは言っても、日本人も昔、欧米から品性や知性を小バカにされ、「日本人は12才」とか「エコノミック・アニマル」とか「ものまね猿」と呼ばれていたものです。

"Made in Japan"と言えば、「安かろう、悪かろう」という粗悪品の代名詞でした。ですから、今の中国は、言わば急速に発展する後発社会が必ず通る、日本人には「いつかきた道」を通っているだけなのかもしれません。

最後に付記しますが、私がこの記事で批判しているのは中国の現在の国家制度であって、中国国民の方々ではありません。知的で良識的な多くの中国人を知っています。また、多くの善良な中国人の方々が3/11の震災に救援活動をしてくれました。ご恩は忘れていません。

by robocop307 | 2011-07-29 22:38  

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