メドベージェフ発言の背景
【 メールは → こちら 】
【 藤沢晃治の公式サイトは → こちら 】
【メルマガ申込みは → こちら
中国から見た石原都知事は、きっと、日本から見たロシアのメドベージェフ首相のような感覚なのでしょう。北方領土に関して強硬発言をするメドベージェフ首相です。石原都知事は中国人からは嫌われているでしょうけれど、私は好きです。
メドベージェフ首相の強硬発言は、プーチン大統領との緻密な連携で行なわれているはずです。北方領土に関して一見、柔軟そうな発言をしているプーチン大統領です。
「軟」の役と「硬」の役に分かれ、「硬役」の主張に比べれば、「軟役」の主張を一見「まとも」に見せる作戦です。つまり、対比効果によって、「軟役」の主張を通りやすくする交渉の古典的な基本戦術です。
こうした戦術は私たちの日常生活でも広く使われているので、めずらしいことではありません。例えば、商品の値札の実売価格のすぐ上に、二重線で取り消されたもっと高い価格が表示されていることがあります。いわゆる、現在の実売価格が値下げされた「お得な価格」であるかのように見せかけるトリックです。
メドベージェフ発言は、その「より高い価格」を表示する役割を演じているわけです。今後、プーチン大統領が提示してくるであろう実売価格を日本側に「お得な価格」に見せかけようとの古典的な交渉術です。
氷を浮かべた冷たい水に手を5分間入れた後、室温の普通の水にその手を入れれば、温水と錯覚します。そうです、「軟役」と「硬役」との使い分けは、対比効果によって交渉相手を錯覚させる心理作戦なのです。
恐喝を意味する「ゆすり」の語源を考えても分かります。恐喝する側が「硬役」と「軟役」の二手に分かれ、ゆすられる側に、「軟役」を「温水」、つまり、「自分の味方」のように感じさせてしまうのです。結果的に「軟役」の主張に乗せてしまう心理作戦です。
硬役と軟役が交替で、ゆすられる側を「押したり、引いたり」するので、「ゆすり」と呼ばれるらしいです。皆さん、恐喝されたら、軟役の優しい言葉に騙されず、警察に直行しましょう。
「硬役」のもう一つの役割は、妥結点に対する交渉相手の期待値をぐっと下げさせることです。そのことで、小さい譲歩を交渉相手に、大きく見せてありがたく感じさせるのです。
北方領土に関し、これから予想される軟役のプーチン大統領の甘い言葉に警戒しましょう。「メドベージェフ首相よりマシだ」や「プーチン大統領と妥結した方が得策だ」など、プーチン大統領にすがりつきたくなるような催眠術にかからないようにしましょう。
お人好しで騙されやすい国民性を持つ日本人は、勤務先企業に都合のいい長時間労働の常態化をコロッと簡単に受け入れてしまいます。「リストラされるよりはマシ」や「会社が潰れてしまうよりはマシ」という論理でコロッと洗脳されてしまうからです。
そんなお人好しの日本人がロシアの古典的で幼稚な交渉術にコロッと乗せられてしまわないかとても心配です。いつも偉そうに「上から目線」ですみません。m(__)m
メドベージェフ発言を聞いて、「なめられないように日本も核武装せよ!」などとカッカするようでは、交渉術に疎い幼稚な反応ということになります。既にロシアの術中に落ちているとも言えます。
そうではなく、「始まったな。そろそろ交渉を開始したがってるんだな。何もせずとも四島全部の実行支配は安泰なのに、なぜ交渉したがるんだろう?何が欲しいんだろう?」との解釈が正解です。
喩えるなら、メドベージェフ発言の心理は、小学生の男の子が好きな女の子の気を引こうと、わざとイジワルする心理と遠からずでしょう。日本は、イジワルされた女の子の立場で「どうして私の気を引こうとしてるんだろう?私のことが好きなのかな?」とでも考えていればよいのです。イジワルに本気で怒るようでは、日本はオツムの弱い女の子ということになってしまいます。
とにかく、メドベージェフ発言は単なる交渉開始希望の合図なのです。
但し、以上は全て、確率が一番高いと私が思う「一つの仮説」、「一つのシナリオ」、「一つの可能性」を提示しているだけです。もちろん、100%この通りだと無邪気に盲信しているわけではありません。
メドベージェフ発言に特に計算された他意はなく、単に額面通り、傲慢なキャラクターが露呈しただけ、という仮説もありえます。しかし、偉大なロシアの首相にまで登りつめた人ですから、それなりの知性も品性もあるはずです。ですから、前者のシナリオに比較すれば、この後者の仮説が当たっている確率は小さいとは思います。
しかし、もし、後者のこの仮説が真実の場合、幼稚で愚かで品性を欠く私は、日本は核武装すべきだと思います。
宣伝です。(^^ゞ → 『「交渉力」を強くする』 (講談社)
【 藤沢晃治の公式サイトは → こちら 】
【メルマガ申込みは → こちら
中国から見た石原都知事は、きっと、日本から見たロシアのメドベージェフ首相のような感覚なのでしょう。北方領土に関して強硬発言をするメドベージェフ首相です。石原都知事は中国人からは嫌われているでしょうけれど、私は好きです。
メドベージェフ首相の強硬発言は、プーチン大統領との緻密な連携で行なわれているはずです。北方領土に関して一見、柔軟そうな発言をしているプーチン大統領です。
「軟」の役と「硬」の役に分かれ、「硬役」の主張に比べれば、「軟役」の主張を一見「まとも」に見せる作戦です。つまり、対比効果によって、「軟役」の主張を通りやすくする交渉の古典的な基本戦術です。
こうした戦術は私たちの日常生活でも広く使われているので、めずらしいことではありません。例えば、商品の値札の実売価格のすぐ上に、二重線で取り消されたもっと高い価格が表示されていることがあります。いわゆる、現在の実売価格が値下げされた「お得な価格」であるかのように見せかけるトリックです。
メドベージェフ発言は、その「より高い価格」を表示する役割を演じているわけです。今後、プーチン大統領が提示してくるであろう実売価格を日本側に「お得な価格」に見せかけようとの古典的な交渉術です。
氷を浮かべた冷たい水に手を5分間入れた後、室温の普通の水にその手を入れれば、温水と錯覚します。そうです、「軟役」と「硬役」との使い分けは、対比効果によって交渉相手を錯覚させる心理作戦なのです。
恐喝を意味する「ゆすり」の語源を考えても分かります。恐喝する側が「硬役」と「軟役」の二手に分かれ、ゆすられる側に、「軟役」を「温水」、つまり、「自分の味方」のように感じさせてしまうのです。結果的に「軟役」の主張に乗せてしまう心理作戦です。
硬役と軟役が交替で、ゆすられる側を「押したり、引いたり」するので、「ゆすり」と呼ばれるらしいです。皆さん、恐喝されたら、軟役の優しい言葉に騙されず、警察に直行しましょう。
「硬役」のもう一つの役割は、妥結点に対する交渉相手の期待値をぐっと下げさせることです。そのことで、小さい譲歩を交渉相手に、大きく見せてありがたく感じさせるのです。
北方領土に関し、これから予想される軟役のプーチン大統領の甘い言葉に警戒しましょう。「メドベージェフ首相よりマシだ」や「プーチン大統領と妥結した方が得策だ」など、プーチン大統領にすがりつきたくなるような催眠術にかからないようにしましょう。
お人好しで騙されやすい国民性を持つ日本人は、勤務先企業に都合のいい長時間労働の常態化をコロッと簡単に受け入れてしまいます。「リストラされるよりはマシ」や「会社が潰れてしまうよりはマシ」という論理でコロッと洗脳されてしまうからです。
そんなお人好しの日本人がロシアの古典的で幼稚な交渉術にコロッと乗せられてしまわないかとても心配です。いつも偉そうに「上から目線」ですみません。m(__)m
メドベージェフ発言を聞いて、「なめられないように日本も核武装せよ!」などとカッカするようでは、交渉術に疎い幼稚な反応ということになります。既にロシアの術中に落ちているとも言えます。
そうではなく、「始まったな。そろそろ交渉を開始したがってるんだな。何もせずとも四島全部の実行支配は安泰なのに、なぜ交渉したがるんだろう?何が欲しいんだろう?」との解釈が正解です。
喩えるなら、メドベージェフ発言の心理は、小学生の男の子が好きな女の子の気を引こうと、わざとイジワルする心理と遠からずでしょう。日本は、イジワルされた女の子の立場で「どうして私の気を引こうとしてるんだろう?私のことが好きなのかな?」とでも考えていればよいのです。イジワルに本気で怒るようでは、日本はオツムの弱い女の子ということになってしまいます。
とにかく、メドベージェフ発言は単なる交渉開始希望の合図なのです。
但し、以上は全て、確率が一番高いと私が思う「一つの仮説」、「一つのシナリオ」、「一つの可能性」を提示しているだけです。もちろん、100%この通りだと無邪気に盲信しているわけではありません。
メドベージェフ発言に特に計算された他意はなく、単に額面通り、傲慢なキャラクターが露呈しただけ、という仮説もありえます。しかし、偉大なロシアの首相にまで登りつめた人ですから、それなりの知性も品性もあるはずです。ですから、前者のシナリオに比較すれば、この後者の仮説が当たっている確率は小さいとは思います。
しかし、もし、後者のこの仮説が真実の場合、幼稚で愚かで品性を欠く私は、日本は核武装すべきだと思います。
宣伝です。(^^ゞ → 『「交渉力」を強くする』 (講談社)
by robocop307 | 2012-07-07 10:12 | 意見表明

