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「日本のでっち上げだ」の主張は良い兆候

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レーダー照射事件で、「日本側の全くの捏造」という中国の正式コメントに多くの日本人は驚き、呆れ、憤慨していると思います。

私も呆れていますが、反面、胸を撫で下ろしてもいます。なぜなら、この中国の反応、及び、それが出てくるまで時間がかかっていることの2点から次のことが言えるからです。

【1】レーダー照射は中国首脳の指図で行なわれてはいない。

【2】「平和時のレーダー照射は、とんでもない暴挙」と中国首脳も認識している。だから、間違っても認めることはできない。


つまり、中国政府の確信犯として暴挙に出たわけでないわけです。だから、私としては最悪な事態ではなかった、という意味で安堵したのです。

コントロール不能で危険な暴走軍部の存在は恐いですが、少なくとも、中国首脳だけは、そこまで非常識ではなかった、ということです。

人間で言えば、「引き金に指をかけて、相手に銃口を向ける」ことに等しいらしいレーダー照射です。そのレーダー照射が、「とんでもない非常識な威嚇行為である」という価値観、国際的な常識を日本政府と中国政府が共有していたことは、ある意味、めでたいことです。

そうは言っても、、暴走軍部をコントロールできていない点だけは、相当、悪いニュースですね。そのことを国際社会に知られることは大恥なのでしょう。

ですから、見えすいてはいるけれど、「日本のでっち上げ」と言わざるを得なかった中国首脳の苦悩は理解できます。3日間という時間経過が中国首脳の苦悩を暗示しています。

中国政府には次の3つの選択肢があったはずです。

 【A】レーダー照射は当然のことと強弁する。
 【B】軍の責任者を処分して日本に謝罪する。
 【C】日本のでっち上げだと主張する。


平和時のレーダー照射が国際的な非常識と認識しているので【A】は排除せざるを得ないわけです。最良の【B】を選択した場合の軍の反発を制御できないのでしょう。残る選択肢は「なかったことにしよう~!」の【C】だけだったということです。

そういう背景を知りつつも、本来、謝罪するべき側が相手を非難してくるとは、正直、腹も立ちます。しかし、個人間の人間関係の常識とは違い、国家間の外交とはこんなものでしょう。ここでも「正直こそが最良の方策」という日本人の品位ある良識は通用しないんですね。

「正直こそが最良の方策」は日本固有の価値観ではなく、英語の諺です。英国を代表する007の暗躍を思えば、英語圏でも日常生活の知恵と外交とは全くの別物なのでしょう。

外交とは、国益と国益が衝突する、騙すか騙されるかのハッタリのポーカーのような世界です。双方が自国の国益の最大化を狙うそんなゲームで、外交相手に正直で誠実な対応を期待するのは、無邪気すぎるのです。トランプのババ抜きで、ジョーカーのカードの位置を相手に教える人なんて誰もいませんから。

ただ、仮に私が中国首脳だったら、別の選択肢を選んでいたと思います。確かに、「軍をコントロールできていない」ことを世界に知られてしまうことは恥ずかしく、国益を損ねると考えたのでしょう。

しかし、私なら、「ウソをついている」ことを知られることの方がもっと大恥で、国益を損ねる程度がより大きいと判断していたでしょう。あからさまなウソをつくことは、自国の主張には常時、虚偽が含まれているという印象を国際社会に与えてしまうからです。

このように、「ウソで強弁する」という選択肢は、国際社会で尊敬される大国としての品位、威厳を傷つけてしまいます。よくある発展途上のチンピラ独裁国家並のイメージを世界に与えてしまいます。

ですから、私が中国首脳だったら、軍部の反発に苦慮しながらも、苦渋の決断で上述の選択肢【B】を選んでいたでしょう。つまり、軍の責任者を処分し、日本に謝罪していたと思います。

by robocop307 | 2013-02-10 00:18 | 意見表明

 

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