「偶発結合」の防止
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文章を書く際の読点「、」の使い方に迷い悩む方は多いと思います。私もそうでした。
一つだけ安心していただきたいことがあります。それは、読点の使い方に関しては、絶対的な「正しい」「間違い」という基準はないという点です。
話し方が人によってそれぞれであるように、実は読点の使い方も、最終的には個性に任される、という一面があります。
それでも、比較的多くの人が使う「読点の使い方」というものは存在します。また、誤解を防止する上で推奨される「読点の使い方」も存在します。
ここでは後者の例を一つだけ紹介します。どんな文書術の書籍でも紹介されていないテクニックで、私の文章術セミナーで紹介しているものです。ネットで公開するのは初めてです。
ご存じのように、英語のような西洋言語では文章を書く際、単語と単語の間にスペースを置きます。そのため、読み手には単語の「切れ目」が明確に分かります。
一方、我らの日本語の文章では、単語と単語の間にスペースは置きません。ですので、単語の「切れ目」に誤認が起こりやすいのです。
この特徴のせいで、英文と比較して、日本文では「ある誤解」を読み手に与えるリスクが大きいのです。私が偶発結合と呼ぶ誤解です。
読点が打たれていない次の文は、どのような意味でしょうか?
【その事故は彼にとってもよい教訓となりました。】
上記のように読点を使わない文は、読む人によって、次の異なる二通りの意味に解釈されてしまいます。
意味A: その事故は彼に、とってもよい教訓となりました。
意味B: その事故は、彼にとっても、よい教訓となりました。
つまり、読点が無い文は「切れ目」が明示されていないため、様々な読み手がバラバラな解釈をしてしまうのです。
仮に、上記の「読点無し」の文で書き手が意図したかったのは、意味Aだったとしましょう。つまり、書き手の意図では「彼に」と「とっても」との間には切れ目があります。
一方、読み手が、「彼に」と「とっても」を一つの固まりである「彼にとっても」と結合して読んだ場合、意味Bと解釈してしまいます。つまり、書き手が意図していない結合なので、私が「偶発結合」と呼ぶ誤解、誤読です。
こうした偶発結合が起こる理由は、英語と違い、日本文では単語間にスペースを置かないためです。そこで、こうした偶発結合を防止する目的で、書き手が意図する切れ目の位置に読点「、」を打つことを私は推奨しています。
私の文章セミナーでは、個人演習なども交えて、他にも誤解を防止するための様々な対策を紹介しています。自分の意図を誤解なく確実に伝えられる文章を書きたい方は、是非、私の文章セミナーにご参加ください。
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by robocop307 | 2014-02-15 18:55 | メルマガ過去ログ